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名無しの劣等さん (830zt69z)2022/3/16 18:56 (No.91692)削除
ヤガナーのイベントの為だけに作られたモブです



【名前】鹿乃空 健二(かのそら けんじ)
【性別】男
【年齢】23
【職業】退魔師
【神社】深川神社
【階級】二級
【亭号】百式
【容姿】白と黒が入り混じった不思議な髪色をしており、短髪。毛先は整えられており、髪型は至って平凡そうな印象を受ける。中肉中背であり、身長は165cm。黒の瞳を持っており、左の方は眼帯を付けている。やる気がないだけなのか、それとも常に眠いのか、半目で居るのを目撃されることが多い。表情の変化は少ないとは言えないが多くもない。奇抜な格好や堅苦しいものは得意とせず、平々凡々で居ることを努めているかの様な、ぱっとしない服装が多い。
【性格】日本人特有とも言えそうな事勿れ主義が目立つ性格。自ら厄介事に顔を突っ込まず、傍から静観しているだけ。昇級の意欲も特に無く、些か積極性に欠ける。
【神威】「百々脚足」
己の体の一部から巨大なムカデを出現させる。出せる数は5本が限界だが、伸縮性に富んでおり、自在に操作することが可能。強度は鋼程。また体の内から肉や皮を食い破らせて出現させているので、その部分はボロボロとなる。ムカデには触覚、痛覚が通っているので、触れた感触や温度は彼に伝わるし、切断されようものなら相当な痛みが彼に走る事になる。
ムカデは彼から切り離された場合、人間の血と肉の臭いを撒き散らしながら雲散する。
また、特殊な状況下に置いてのみではあるが、ムカデを体に覆わせ、アーマーの様に装着する事も可能。この場合、普段よりも数十段上の身体能力を得ることが可能になるが、自我が失われるので実質暴走状態とも言えるだろう。
【代償】
出せる回数に制限は無いが、察しの良い人なら気付いてるだろう。この能力は彼の血肉を媒体とし、ムカデを形成しているので、必要以上に出せばそれだけ彼の体は内から蟲に食い尽く様に蝕まれていく。また性格の逆転、並びに負の感情の増幅も代償として含まれている。
【武器】鎌、太刀、短刀
【備考】小さな頃に悪魔に両親を殺され、喰われ、挙げ句についでと言わんばかりに自身も殺されそうになった所を退魔師に救われ、そのまま孤児として引き取られた。その後、辛い修行などを経て彼も退魔師となった。しかし、小さな子供だった彼に間近で悪魔が人間を、それも最愛の両親を殺し、食すその場面は強烈なトラウマとして深く彼の心の奥底に根付いている。それが祟ってか、極度の緊張や不安、ストレスに晒されると思考が纏まらなくなり、本能が自己防衛へと走る。具体的には行動が「殺されるくらいならば殺す」と言った指針に変更され、気を失ったり、疲れ果てるまではそれを永遠と執行し続ける。この場合、敵も味方も判別が付かず、目の前、横、後ろ、兎に角周りにいる全てが己を害するモノとして写り込んでしまう。これは神威の代償の影響が大きい。
【sv】「えっと、僕に何か用でしょうか…」「えーっと…うん…そうですね、それで良いかと…え、僕ですか?…いえ、特に浮かびませんので…はい…」「ッ…ヵ……ヒュッ……ァ…ァァァぁアァああぁああああああ!!!!!!!!!」「殺す殺ス殺すコろス殺すコロす殺す潰す消ス引キ千切る噛り取るもぎリ取る叩く蹴ルエグる殺ス!!!!!!!!!!」
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夜神月さん (7vkz0vb9)2022/3/15 03:57 (No.91637)削除
六道雪吹外伝 第七章

〜地獄〜

前回の任務から数日が経った。自分ただ1人、死に損ねた。皆は苦しんで死んだのに自分一人、敵から一つも傷を付けられずに帰ってきた。呪力と霊力のバランスなんてもう元に戻っている。多少体に着いた傷はもう面影も無い。せめてその傷だけでも残っていて欲しかった。

前回討伐した蠍の様な悪魔は一級の悪魔だったらしく、少数の退魔師が六道雪吹の活躍を認め、二級退魔師へと推薦した。

違う。自分1人で勝てた訳じゃない。あの時蓬が庇ってくれたから、鳴子が自分を逃がしてくれたから今生きている。そして守れたであろう海月を守れなかった。自分の実力じゃない。

心底気分が悪かった。蓬の悲鳴が頭から離れない。あの時、鳴子を置いて逃げた自分が許せない。海月を守り抜けなかった自分が許せない。

生き残ってしまった自分は死んでしまった三人の遺族に挨拶に行くことにした。どんな顔をすればいいのか、何を言えば良いのか分からなかった。遺族は雪吹に対して問いかけた。

「どうして貴方は生き残っているの?」

「どうして貴方は無傷なの?」

「どうしてあの子は死んだの?」

「貴方は何をしていたの?」

何も返せなかった。ただ黙っている事しか出来なかった。出来ることなら自分だけが死んで皆に生きてていて欲しかった。

家に帰ってきた雪吹はすぐに屋上に向かった。柵を乗り出し、辺りを見渡した。全く空が綺麗に見えない。何を見ても、何感じても黒く澄んでいる。

何のために産まれて来たんだろう。

無関係の人間を散々殺し

家族にも愛され

仲間にも愛され

自分を愛し、自分が愛した者全てを失った。

地獄だ。

また俺は地獄に戻ってきた。

そしてこれから地獄に堕ちる。

でも地獄に堕ちて当然だ。結局他人を地獄に堕とすだけの人生だった。

目を瞑り、前に倒れようとしたその時だった。

『______』

何かが聞こえた気がした。

咄嗟に柵に手を掴んだ。柵を跨ぎ、地に膝を着き泣きじゃくった。

「そう言ってくれるなら……帰って来てよ……助けてよ……」

そう言っても失ったものは帰って来ない。誰も助けには来ない。暫く泣きじゃくって雪吹はある事に気づいた。

今逃げようとした?

散々他人を地獄に堕として自分は楽に終わろうとした。

やっぱりまだダメだ。

苦しまなきゃいけない。

自分が殺した人の分まで。

自分のせいで死んだ人の分まで。

まだまだ自分には地獄が必要だ。
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夜神月さん (7vkz0vb9)2022/3/14 04:38 (No.91596)削除
六道雪吹外伝 第六章

〜1人にしないで〜


ただひたすらに走り、雪吹はビルの屋上へと出た。抱えていた海月を地面に寝かせ、傷の手当をしようとしていた。取り敢えずは血を止め無くては。自分の和服の裾をちぎり、傷を押さえつけ、圧迫していた。あまり医学については分からないけどとにかく血を止めれば何とかなるかもしれない。ただ血が止まれと考えていると海月が口を開いた。

「いぶ……き……」

「今は喋るな。」

「私……死ぬかな……」

「……んな訳ねーだろ。頼む……頼むから俺よりは長生きしろ……もう誰も……死なせたくないんだ……俺は蓬も鳴子も海月も……大好きだから……」

「……そっか」

傷を抑えていると屋上の扉が突然、大きな音を出して壊れ、そこから大きな蠍の様な悪魔がでてきた。鳴子はどうなった?逃げた?そんな訳ない。アイツが誰かを置いて逃げる訳が無い。

「……クソッ、お前タダで死ねると思うなよ。」

少し意識が朦朧としてきた。ダメだ。怒りは抑えろ。海月の前に立ち、刀を構えていると突然。誰かに声を掛けられた。

『お前がアレに勝てるか?俺なら確実に勝てるぜ。俺に代われよ、ホラ、ホラ。けど代わればそこの死にかけの女も殺……』

「お前は黙ってろ!!!」

蠍の様な悪魔は一直線に尻尾を伸ばしてきた。かなりの速度ではあるが電気を纏った自分ほどじゃない。横に跳んで交わし、一気に距離を詰めて悪魔の足を切りつけ、後ろに跳んで距離をとる。硬い。硬いが少しは切れている。何度も切りつければいつかはダメージが入る。しかし持久戦となると自分の体の方がもたない。

悪魔は伸ばしていた尻尾を戻した。その尻尾の先には瀕死の海月が引っ掛かっていた。雪吹が避けたからだ。雪吹が尻尾を避けた事により、雪吹に刺さらなかった尻尾は雪吹の後ろにいた海月を捕らえた。海月は引きずられながら雪吹の方を見て声を出した。

「雪吹……」

ダメだ、待って、行かないで。

悪魔の口元まで運ばれた海月は最後に雪吹に聞こえるか聞こえないかの声で言った。

「______」

その言葉を最後に、海月の頭は悪魔に砕かれた。

三人の仲間を一度に奪われた雪吹の精神は限界に達していた。

誰も守れなかった。自分が許せなかった。それと同時に一つ決心した。

悪魔は海月の頭を咀嚼し、飲み込んだ。残った海月の体は先に雪吹を殺してから食べ切ると決めた。しかし悪魔の視界に雪吹は見当たらなかった。

次の瞬間、雷鳴のような音と共に背中を切りつけられた。悪魔はその速度に全く反応できなかった。雪吹は即座に距離をとり、また距離を詰め、一瞬の隙も与えずに何度も何度も、何度も何度も悪魔を斬りつけた。

「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!あ゛あ゛あ゛あ゛!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!」

その場には彼の悲痛の叫びと雷鳴が何度も響き渡った。

怒り狂えば別人格に体を乗っ取られるが、今は正気を保っていた。怒りが無いわけでは無いがそれ以上に彼には悲しみがあった。

数分後、悪魔は殆ど原型を残しておらず、雪吹の体は霊力と呪力のバランスが崩れ、至る所から血が流れていた。

仇は打った。それで三人は帰ってくるか?

否。失った者は何一つ帰って来ない。

嗚呼、また一人だ。また一人ぼっちだ。

何故死んだ。何故自分だけが生き残った。

刀をその場に落とし、雪吹は膝を着き、その場で泣き叫んだ。

それでも誰かが帰ってくる事は無かった。

「待ってよ……置いて行かないで……もっと傍に居てよ……」


「俺を……1人にしないで……」
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夜神月さん (7vkz0vb9)2022/3/14 03:42 (No.91594)削除
六道雪吹外伝 第五章

〜蠍〜


今回はとある悪魔の討伐任務。どうやら廃墟のビルに悪魔が立てこもっているのだとか。悪魔の階級もそこまで高くないとの事だ。大丈夫。いつも通りやればいい。

少し歩き続けていると廃墟のビルに到達するだろう。中に入って神威の電気で辺りを照らしながら悪魔を探して行こう。数匹との情報は聞いてある。

少し進んで扉を開けた瞬間。強烈な匂いが漂ってきた。何かが腐っているような。そんな匂いが。あまりいい予感がしない。恐る恐る入って行き、辺りを見回してみる。しかしそんなに探索する必要もなかった。部屋の隅の方には人間の遺体が積み重ねられている。それを見て雪吹と海月は口を開く。

「ワァオ……これ喰うのか……もっとこう、ちゃんとした保存法無かったのかね。」

「雪吹って他人の血を何の抵抗も無くグビグビ飲むけど腐ってたりはダメなの?」

「アンタは腐った水を何の抵抗も無く飲むの?」

「……」

いくら悪魔の階級が低いと言え、ビル内は広い。雪吹と海月、鳴子と蓬の二手に別れてビル内を探索。悪魔を討伐しようと話になった。

2人と別れた後、雪吹は特に何も考えずに海月と悪魔を討伐していた。ただの害虫駆除感覚でしかいなかった。それどころか自分より弱い悪魔を殺すのに少し快感を覚えていた。何故かは分からない。けどそんな自分に少し嫌気がさしていた。他者を殺して快感を覚えるなんて我ながら最低である。

少しすると突然、鳴子達の行った方向から大きな爆発音が聞こえてくる。海月は驚いたのか雪吹を盾のようにして後ろに隠れる。

「爆発……?鳴子の神威か?にしてもそれを使うぐらいやべーのが居たか?って何してんの海月」

「うるさい!とにかくそっちに向かった方がいいんじゃない?」

「んー……一応見に行くか」

念入り。悪魔で念入りだ。大丈夫、きっと何らかのミスで使ったか少しヤバいのが出たけど今の一発で終わった。見に行った時はきっと「派手にやっちまった」なんて笑うんだ。心の中で何度も自分にそう言い聞かせるが、内心、雪吹は少し焦っていた。

走っているとそこに見えてきたのは片腕の無い鳴子、片足首の無い蓬が鳴子と肩を組んでいる状態で歩いていた。これを見た雪吹と海月は驚きを隠せなかった。

「ウソ……」

「鳴子……蓬……これは……?」

「間違いなく一級か特級だ!でけー蠍が襲ってくる。俺らの血の匂いを追って来る!急いで離れろ!」

「尻尾を伸ばして攻撃してくる……早く逃げないと……殺される……」

有り得ない、2人がこんなにボロボロになるなんて、手や足が無くなるなんて。有り得ない。何かの悪い夢だ。ダメだ。2人が死ぬなんてダメだ。どうにか、今無傷の自分がどうにかしないと。雪吹は完全にパニックになっていた。体は震え、呼吸も荒くなり、周りの声もよく聞こえなかった。

しかし次の瞬間、蓬は何かに気づき、肩を組んでいた鳴子を振りほどき、雪吹を突き飛ばした。

「雪吹!!!」

突き飛ばされた雪吹は壁に激突し、我を取り戻した。目を開くと自分を突き飛ばした蓬の腹には奥から伸びている蠍の尻尾の先のような物が貫通していた。

「が……あ……」

蓬は血を吐き、伸びていた尻尾が戻って行く。勿論それが刺さっている蓬も引きずられるようにして消えていった。雪吹は咄嗟に手を出したが、あと一歩届かなかった。

「待っ……」

蓬が奥の方へと消えていくと何か硬いものが砕けるような音。耳が割れるような悲鳴。3人は奥の方で何が起こったのかを一瞬で理解した。雪吹と海月は突然のこと過ぎて動けなかった。この中でただ1人、鳴子が冷静だった。

「走れ!!良いから逃げろ!蓬の事は……今は置いとけ!蓬を無駄にするな!!」

悲しんでいる暇なんて無い。パニックになっていようと、悲しんでいようと、自分達を殺そうとしている悪魔が獲物に時間を与えるわけが無い。また奥から尻尾が伸びていき、海月の腹に突き刺さる。海月は血が滲み出てきた腹を抑え、膝まづきそうになる。

「ゔっ……!ぁ……」

その瞬間、鳴子は海月に触れ、神威を使用し、自分と海月の位置を入れ替える。海月のいた場所に入れ替わるという事は自ら尻尾の先に突き刺さる事と同じだった。鳴子は血を吐きながら雪吹に声を掛けた。

「雪吹……クラゲ連れてここから離れろ……」

「お、おい待て……お前はどうする気だ……?」

「ナメんな。俺がお前より早く死ぬ訳……ねーだろ。」

鳴子は尻尾に引っ張られながら、ナイフを取り出し、自ら走って尻尾の伸びている元へ向かった。雪吹は歯をかみ締め海月を抱えて走った。鳴子は必ず帰ってくる、信じれる。それに蓬の死を無駄にするな。必ず生きて帰れ。しかしこのまま外に出ればどうなるだろうか。もし悪魔が生きていれば自分達を追ってく外に出てくる可能性もある。その場合は被害がどうなるか分からない。万が一のことを考え、雪吹は屋上へ走った。
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2
25時さん (7gco3nsr)2022/3/12 21:04 (No.91493)削除
伊藤くんの甥っ子





【名前】伊藤 将吾(いとう しょうご)
【性別】男
【年齢】16
【容姿】黒髪でくせっ毛。身長186cm。叔母の遺伝か細身でありながら体格に恵まれている。所謂細マッチョ。切れ目で眉が太いため、強面に見られがち。目つきが悪いので、よく不良に絡まれそうになるし、隣の席の人に怖がられたりする。
【性格】性格上は至って普通の高校生。ご飯を食べるのとゲームが好きで、ちょっとむっつり。自分の祖母(伊藤叔母)に現在進行形で格闘術を仕込まれてるから祖母が怖い。不条理な事に怒り、理不尽を許さない性格なのは伊藤家の血筋から来てるのかもしれない。ただ空気を読んだり、場を弁えたりするので所構わず暴れる訳では無い。祖母はそれを、いざと言う時に動けない臆病者と言うが、本人は慎重なだけだと言っている。
【備考】見た目のせいで友人が少なく、本人はちょっと気にしてる。成績は中の中。ど平均。部活には所属しておらず、帰宅後祖母からしごかれるため今後も入る予定はない。(祖母的には自分の扱きに耐えれるくらいの体力を付けた上で部活なり青春なりを送って欲しいとは思っている)なんでしごかれてるかと言うと、悪魔や呪術師から身を守る為、との事。高校入学後、鞠源佳乃に絡まれる。めちゃくちゃぐいぐい来るし、女子道とかいう謎の道に誘われて困惑はしているものの、数少ない友人として慕っている。
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夜神月さん (7vkz0vb9)2022/3/9 13:46 (No.91363)削除
書いて投稿した気になって半年以上投稿してなかった人間と魔人のハーフの設定

・両親のうちのどちらかが人間。どちらかが魔人であり、その間から10分の1の確率で産まれてくる。
・体に呪力と霊力のバランスを奇跡的に保っており、神威、もしくは呪術を長時間使うと身体に流れる呪力と霊力のバランスを崩し、生命活動を維持しにくくなり、完全にバランスを保てなくなるとその時点で死亡する。何らかの方法で呪力。もしくは霊力を摂取、消費し、バランスを戻すと普段通りに生命活動を維持することが出来る。
・魔人の血を継いでいる事もあり、身体能力や再生能力は人間を遥かに上回る。(個人差あり)しかし、例え親の魔人が何級であろうと、ハーフは3級の悪魔すら上回ることは出来ない。
・魔人と同じで生物の血液を摂取すると魔人未満ではあるが、呪力を消費し、人間を上回る再生力と速度で魔人と同じように傷や欠損を再生することが可能。
・魔人のように人間と異なる特徴がある者も居れば、外見が人間と変わら無いものも居る。
・ごくごく稀に再生力等を持たずに、1つの事だけを特化して受け継ぐ事もある。
・ごくごく稀に呪術を使える者もいる。
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夜神月さん (7vkz0vb9)2022/3/8 00:14 (No.91306)削除
【イベント名】『退屈しのぎ』

【開催日】3月16日、17日

【開催時刻】19時〜0時

【開催場所】イベント部屋

【ジャンル】戦闘

【ロスト制度】普通の戦闘ロル同様、お互いの相談次第。

【推奨のキャラ】退魔師、魔人退魔師

【概要】
冷泉家襲撃前当主殺害事件。日本退魔師連盟上層部の行方不明事件。特級退魔師、伊藤剛一の暗殺事件。

現在、退魔師業界では大騒動となっていた。
そんな中、元特級退魔師であり、呪術師の中でも特に危険視されている人物、鬼龍紅の率いる反日本退魔師連盟組織「陽炎」が動き出そうとしていた。

ちょうど日が沈んだ頃、愛知にある日本退魔師連盟支部に奇襲が仕掛けられるだろう。貴方達、退魔師には緊急で応援が求められるだろう。連盟支部がどうなるかは貴方達次第である。

どんな結末になっても了承できる方のみ、ご参加をお待ちしております。
夜神月さん (7vkz0vb9)2022/3/8 00:16削除
退魔師のスパイとかも居るということでちょっとした事前情報。
・陽炎内で5つの隊に分けられており、それぞれ隊長が指揮を取っている

・隊は数が小さいほど、隊長の実力は高い

・一番隊、三番隊、四番隊に潜入した退魔師は全員行方不明となっている

・五番隊、二番隊はテロの日にちが分かってる
夜神月さん (7vkz0vb9)2022/3/8 00:19削除
饅頭さん作、支部周辺の情報
支部周辺
・そのまま支部の周辺、目的地である以外に特筆すべき点はない
行政区
・名古屋市役所、および名古屋城がある。
・この辺がめちゃくちゃになると行政が死ぬ。
・名古屋城の堀から支部周辺を縦断して商業区ー観光区を隔てる川に繋がる。
商業区
・大型ショッピングモールなどが目立つ区域。
・この辺がめちゃくちゃになると市民と企業が困る
・それ以外は支部周辺よりもなにもない。
観光区
・観光地として寺社や資料館などが目立つ。
・区内に神社がいくつかあり、ここから南に行くとわりとすぐ熱田神宮に行きつく。
・則ち退魔師が多い。
ちなみに区域の境は主に高速道路に合わせている。
例外が先述の通り商業区と観光区の間に流れる川。
川自体は他に観光区にも北から南へ流れていたりする。
なお、線路も駅もどの区域にもしっかりあり、都市部の開発具合も相まって区域間の交通の便は全く不便でない。
返信
返信2
楊貴妃さん (7oskzwxe)2022/2/22 05:31 (No.90820)削除
魔人が生を受けた後



 大体今日で一周忌だろうか。
 あれは忘れもしない、私が生まれた日。
 でも私は、誰かの命日にその人物と寸分違わず同じ場所で生まれた。人間社会という大きすぎる集団で見れば、誰かの命日がまた違う誰かの誕生日。原爆投下日が誕生日の人だって居るが、ここまで状況がハッキリしてると矛盾となってしまう。だけど、これが矛盾にならない種族がいる。
 魔人だ。
 魔人は人間の体を乗っ取って、生き返ったかのように生まれる。私は女児の身体で生まれて、今まで生きている。生まれて初めて見た光景が大型トラックの暴走事故なのは納得がいかないが、それ以外は順調の一途を辿っていた。
 悪魔と同じで殺されて死ぬはずが、全身が機械の悪魔が仲間になって、盗んだ金でたこ焼きを買おうとしたら全退魔師の中で2番目に偉い人にスカウトされて、挙句に他の特級退魔師と話す時間を貰って。普通の人が羨むような人生を歩んでるのである。要約すればこんな感じの人生……一瞬疑問に思ったが魔人なので人生で良いのだろう。
 そんな私だが、いつでも明るく元気な12歳児といったわけでもない。なにせ今日は____
 この身体の命日なのだから。

 



 今日は、深川神宮の近くにあった花屋にやってきた。
 あんなに仰々しく言っておいてあれだが、一ヶ月に一回は手を合わせにいってる。無論親族や友人に見られたらまずい(姿が似てるどころかほぼ同一人物で混乱を起こしかねない)ので人がいない時に行ってるが、その時は家の近くの花屋に寄る。
 しかし今日は授業と任務があって時間が少し遅くなっている上に自宅より離れてしまっている。その花屋に行くより直行したほうが近いのだが、手持ち無沙汰は故人に失礼だろう。どうしたものかと思って周りを見たら、丁度お洒落な花屋があったので寄ってみることにした。
「おじゃまします」
 とりあえず声をかけてから、周りを見渡してみる。ケースに入れられた花もあるが、出ている花はすごく綺麗で、お姫様になれる気分。
「いらっしゃいませ……ん、見ない客だね」
 奥から出てきたのは、紺色の髪に赤い瞳で白い肌をした吊り目の人物。ああ、この人ならモテそうだなって感じの。この花屋は結構評判がいいのだろうか。
「すいません、菊はありますか?」
「菊?菊は____」
 お悔やみの花、というよりいつも贈る花を持っていこうとしてるので聞いてみたが、店員さんは申し訳なさそうに首を振ってる。
「ごめんね。さっき買って行ったお客様で最後だったみたい、また仕入れをするにしても次入るのは明後日くらいかな……いつ必要?」
「今日中に必要なんですが、無理ですよね」
 やらかした、花屋ってそんなぽんぽんあるもんじゃないから一度チャンスを逃したら難しいだろう。菊は今日中に手に入らない以上、一周忌にして元の人間への尊敬を欠くことになる。だが、他に弔いの花が思いつかない。
 悩んでいると、見かねた店員さんから声をかけられた。
「どんな理由で必要なんだい?」
「ああ、えっと……命日なんです、友達の。だから花を持っていこうと思って________」
「そっか……お菓子とかじゃなくて花を持っていこうとするのは、なんかしっかりしてるよねって。本当はまだ気にするような年齢でもないのに」
「親しき仲にも礼儀あり、という感じです」
「見た目に合わない礼儀だね……で、その贈る花のことなんだけどプリザーブドフラワーはどうかな?」
「プリザーブドフラワー……?」
 聞いたことのない花の名前だ、乙女心の無さが目立つ。
「生花を染色して水分を抜かして乾燥させて花のことを言うのさ。枯れにくいから長持ちするし、色も綺麗だ。実際葬式とかに使われている」
「ああ、そんなものが……それをお願いしてもいいですか?」
「分かった。とは言え今作ってる途中で、あと20分かかるよ。その間に奥のテーブルに座ってもらってて良いかな?余ってるケーキ一切れと紅茶は勝手にもらってもいいよ」
「分かりました」
 再びスタッフが入る場所へ戻った店員さんが指差してた場所へ行く。
 ティーセットと未使用の皿とフォーク、そして箱に入ってるケーキを取り出して、勝手にカップに注ぎつつ食べることにした。
 ああ、チーズケーキだ。ニーベルンゲンがレアチーズケーキなるものを食べさせてくれたことがあったな、あれは美味しかった。
 これも勿論美味しい。舌鼓を打ってると、奥から店員さんがやってきた。椅子をひいて対面に座ると、空になってたカップに紅茶を淹れ直して飲んでいる。
「あと待つだけだね……そう言えば、君名前は?ここら辺では見ない顔だし、リピーターになってくれるなら尚のこと覚えておかないとね」
 なんで名前を聞いてくるのだろうか。随分と馴れ馴れしいものだが、あまり女性で遊ぶような顔もしてなさそうだ。所謂優男と呼ばれる部類なのだろう、彼の質問に答えることにした。
「ミナトバです、よろしく」
「ミナトバちゃんか……自分はラ・ユーゼァ、みんなからはユーゼァって呼ばれてる。よろしくね」
「ユーゼァさん、ですか。ええ、よろしく」
 別に早くしようとしてるわけではないのだが、こちらだけ気まずく感じる。人と話すのは慣れてるはずだが、初めての店で親切にされてると振る舞い方が分からなくなってくる。
「ところでミナトバちゃんってさ、その子の葬式とかには行ったの?」
「いや、諸事情あって行けなかったんです」
「そっか」
 それ以上は深く聞かなかったのは、優しさか別のことを考えているかのどちらかなのか。
 黙ったまま、飲食を終えると奥から出てきた。
「はいこれがご注文の品ですよ。お代はいいや」
「え、でもそれって拙いんじゃ」
「うちの店長はサボり気味なんでね。それにそんな事情があったんじゃお金は受け取りづらいや、余計なことは気にせずに弔ってくるといいよ」
「____ありがとうございます」
 彼の優しさに一礼しながら、外を出る。
 深川駅までは、すぐだ。

 ブリザードフラワーを持って、目的地へやってきた。護身用の銃も持たずによくも長距離移動するもんだと思ったが、弔いの時にそんな物騒なことを起こすのは御法度だ。ヤクザの人たちもそんなことすることはない。
 見渡せば破壊の跡が残っている。未だに近くの空き地が少し抉れて汚れてて、それが1年経っても消えないなにかを残していた。
「今日は一周忌だな、あかりちゃん。君が地獄へ行くとも思えないが、とりあえずは花を添えておこう」
 未だに事故現場に弔いの花やらお菓子やら、これだけ贈り物があればあの世でも困らなさそうだ。
 手を合わせた後、長居するもんでもないし去ろうと思ったがここで声をかけられた。
「あの」
「はい?」
 振り返ったら、喪服を着た女性が立っていた。
 少なくとも私は知っている。彼女がここにくる人物の1人であり、一ヶ月目くらいに花を置きに来た時は一番泣いていたこと。港羽さん、と励まされる中で泣き崩れていたこと。きっと、この体の持ち主の母親なのだろう。
「あ、その……そんなわけないよね。ごめんなさい、あかりだと思ってつい……横顔も髪型も何もかも似てたものですから」
「彼女が地毛でピンク色の髪が混ざってたり?」
「あかりは茶髪よ」
 首をふりつつも、少しだけ微笑んでる彼女。
「貴女、ずっと前から一ヶ月に一回来てる子よね。あかりの友達他にもいたのね」
「ええ、深川神宮の近くに住んでますね。社会見学の時に会って、それからの縁ですよ。亡くなったことは私も同じく悲しかったけど、貴女のことも知らなくて。手も合わせられなかった」
 そうなのね、と相槌を打つ彼女。
 母親がいると不都合というわけでもないが、やっぱりこんな女と話す時間より知り合いと話す時間を取るべきだとは思うから早く帰ろうと思う。
「せっかくだから、お墓に手合わせしていかない?」
「お墓に、ですか?」
 ただそう思っても一年たってる、こんな知らない子供でも優しくする余裕だけはあるみたいだ。
 こういうことはなんだか断りづらくてしょうがない。こんななりで、正装ではないことを詫びつつもそれでも良いならと聞いたところ全然問題はないとのことで連れて行ってもらうことにした。

 墓場というのは、日が出ているうちは落ち着くような気がする。少し赤目の黒に高級感漂う墓標、自然と精神が高鳴りを潜めて死者への尊敬が沸いてくる。
「あかりはとても良い子だった。習い事も頑張って、色んな賞を取ったのよ」
「それは凄い、ピアノとか習ってたのですか?」
「そうね。ラ・カンパネラを弾いた時には感動で涙が止まらなかったわ」
 ただ、この人の笑顔はずっと見てない。
「____死んだのは私達夫婦の所為だったのかしら」
「どうしてそんな事を言うのですか」
「……彼女は発達障害だったの」
 いきなり言われた事だが、腑に落ちる話だ。
 彼女を観察してて思ったのが、12歳としては食への興味があるがそれも知性ある持ち方ではなかった事。そして、気持ち悪いくらいに真面目に魔人退魔師の授業を受けていた事だ。
 12歳であれば多少背伸びしても良いのだが、ニーベルンゲンという物がいて異様に思わないことも、本能的に怖がるはずの特級退魔師である伊藤剛一に出会っても子供らしく振る舞ったことも、それであれば腑に落ちる。魔人になったことも多分自覚してても実感はないだろう。
「うちの子がおかしいと思って、精神科に連れていったことがあったの。その時にあかりは発達障害、先天性アスペルガーだって言われた。その事は隠し通そうと思いあかりにも話さなかった、けど噂は広まって____
 いつも話してたっけ『今日も誰も遊びに来なかったなー』って、あれはみんなが離れていったことが原因だったのに。家でぼーっとして、習い事行って。外に出るタイミングはあったからきっと何処かで知っちゃったんだろうね。
 そしてきっと、その夜に」
「憶測のうちで悲しむのは誰にでも出来ることです、あまり考えない方がいいのでは……」
 初めて口角が上がったが、きっと乾いた笑いだろう。声に、乾いた何かを打ちつけたような音が混じる。
「あの子は何も悪くなかった。でも、あの子を信じずに連れて行って、ありもしない病を負わせてしまった。それも永遠に残るもの。いつか、この事に気づいたときにフォローしようと思ってたのにすぐ死んでしまった……私が悪かったのよ!幸せを願って結婚して、結婚相手にも恵まれて、子を宿して……たった一つのミスで、私は彼女を殺した!」
「港羽さん、もうそれくらいに。本当に墓で悔やむべきではないでしょう」
 かけるべき言葉が見つからない。
 普通こう言うものは産まれた子を恨むと言うのに、この人は自分を常に恨む。もしかしたら周りや夫を恨んだこともあるかもしれないけど、結局自分のせいだと思ってしまってる。
 どうしようか悩んでいるところ、一人の成人男性が此方へ歩いてきた。
「祥子!こんなところに……どうしたんだい、その子は?」
「この子はあかりの友達よ。一緒に墓参りしない?って聞いたら行きますって答えて……少しの間だけど、仲良くして覚えてくれた子なの」
「初めまして」
 深々と下げてから、相手の方を見る。
「そろそろ帰ろう。一周忌は終わっても僕達は生き続けなきゃいけないんだ、ずっとあかりの味方だって言えるように」
「____ごめんなさい。私のことは忘れて」
 彼の手を退ける彼女。
「何を言ってるんです?」
「私が産んだからあかりはこうなった、だから」
「それを言ったら僕が結婚相手じゃなかったらあかりはこうなってなかったって話にもなると思うからもう考えないで」
 精神障害は、誰も助けてくれないのは明らかだ。ただ、彼女が分かった時点で誰かに助けを求めるべきだったのではとも思う。支援学級を利用するとか、なんとか。
 あれ____ただの独りよがりなのでは。本当に助けるつもりなら、その手があっただろうに。

「本当はミナトバのこと、どうでも良かったんでしょ?」
「え……?」
 今の声は。
 手で口を抑えようとして動かない。全く悲しくもなく引っかかりもないのに涙が止まらない。まずい、脳以外私のコントロール下にない!
「だって、例えそうだったとしても手を差し伸べる誰かが居ること知ってるもん!」
「やっぱり、あかりなの?」
「保健室の先生から支援教室のこと教えてもらったから、そこに行けば追い詰められても誰かが助けてくれるって!」
 さっきから制御出来ない状態が続くが、それはそれとして呪力反応が高まってきている。
 お願いだミナトバ、口を閉じないと大変なことになる!ただでさえ今武器を持ってないんだ!
「違うのよあかり私達は」
「じゃあなんで隠したの!
 私が幼くて、それが嫌で逃げたんじゃない!怖くなって隠したのを逃げたって言わないでなんになるの!?」
「私が伝えたらどうって言うのよ!貴女が確実に苦しむだけよ……知ったときにどうして家に帰ってこなかったの」
 口喧嘩が止まらない。
 ただ、これをなんとかしないとこの場を離れられない。
「お母さんのバカ!」
 そろそろ限界で、相手が此方に危害を加えようとしたそのときだった。
「あかり……ぅぅあ……!」
「何悲しんでるのこのクソババア!」
 お父さんも疲れているだろう。本当に彼女がこっちに主導権渡してくれないと大変なことになる。
「もう嫌ぁ……!」

 呪力の濃度が一気に高まった。
 目の前にいる女から異音が鳴り、人間の部位が飛び出してくる。それは後ろの男に絡まり、引き摺り込んでいく。
「あか……」
 呼ぼうとした本人は口角が上がってしまっている、どうやら見殺しにする気らしい。
(あかりちゃん、流石に見殺しは拙い!助けないと退魔師の意味がなくなる!)
 ただそれでも身体は動かない、何を考えているんだ!?
 焦ってるのが自分だけなのか、相手を見るともはや腕が6本に増えた人型の何かが立っている。足も4本に増えていて、虫のなり損ないのような形だ。
 これではベトナムの奇形児と変わりない。
「趣あるよね、そうなってれば救われてたでも言うつもり?」
 本体自体もおかしなことに、語彙力が伸び始めた。おかしなことばかり起こっているが、把握以外何も出来てない。
 相手はこちらを捉えたら、獲物を見つけたかの如く襲ってくるのを軽くいなして蹴飛ばす。魔人の力が役に他って何よりだ。
「ねえ、悪魔さん。この時のために貴女と契約して生き延びてたの。いつか償う時が来るから、手伝って」
(何を言ってるんだ!?違う、君がやることは復讐じゃなくてみんなを守ること!不知火さんの事を忘れたわけじゃないだろう!?)
「忘れてないよ。でもね、これだけは譲れない……えへへ、ごめんね」
 意識の形が変わっていく。
 ただ、その中で家族と呼べる者の気配がする。
(ニーベルンゲン!泣き目を見たくなければ離れろ!)
「おいで、ニーベルンゲン。
 悪魔を退治しよう、いつも通り」
(ダメだニーベルンゲン!)
 一生懸命、身体から出ない声を叫び続ける。
 こんな理由でこの子に殺しをさせてはいけない。いつか贖うからじゃない、贖うべき罪なんて最初から持ってないから。
「了承しました」
(その子に殺しをさせちゃいけない!違う、この身体で殺しをして良いのは私だけだ!)
 ニーベルンゲンが分解され、長ズボンやジャンパーに鎧として追加される。そして手には、鍔に深い朱色の剣。
(やめろ!やめるんだ!)
「____やろうか」
 まずは腕が二つ振り下ろされる。何も言わない化け物を避けようとせず、剣を振り上げてそれを切り離す。
 血はまだ流れ、相手は口を開けて悲鳴をあげる。ただあげながらも、4本足で音を立てながら近寄ってくる。
 墓場で殺生をする親子。この世の地獄みたいな風景に戦慄しているが実際は、少し嬉しそうに殺すあかりちゃんに怖がってるのもある。
 あの微笑みが女性のもの、慈しむ顔だ。それを親を愛してる時のように向けている。
「もう腕はないよ、足も斬っちゃった」
「ァア……」
(変わってくれ、せめて最後はこっちに譲れ!もう君は十分に相手も傷つけた!痛めつけた分だけ罰を受けるで十分だろう!?)
 心のこの叫びは聞こえているはずなのに、止める気配が一向にない。
「逃げる必要はないよ。これは私がしたい事……唯一自分が周りを把握できて、それでもやりたい事なんだ」
 もう立てない相手に、逆手持ちして振り上げる。間違いない、トドメを刺してしまう気だ。
「生きてる頃は全く分からなかった。ただ目の前に出された事をやり続けて、ひたすらなにかをして。みんなが何を感じてるかとかなんて一回も思いつきもしなかった。だから、それを気づいた時はすごく落ち込んで、親がそれを隠してたのが悲しかった。親を悲しませるか、みんなを苦しめるかの二択を選ぶなら消えた方が良いって分かったから」
 蠢く悪魔に向かって刃先を落とす。
 その先に迷いはない、だからこそ悲しい。
「さようなら。お母さん、お父さん。
 来世でも結ばれて、その時は私じゃない子を産んでね」
 何も言えないまま、剣は醜い肉塊を貫く。
 呪力が分散する音と、血が飛び散る。墓には、枯れたような色の血が張り付いている。
「あぁ……終わったね」
 ニーベルンゲンが元に戻る。
「ねえ、悪魔さん。いつかあんな風になったら、殺してくれる?」
(何を言ってるんだ……!?)
 上を向いている。
 雪が、ゆっくり舞い降りる。
「殺しをした魔人が、そのままでいれる訳はないんだ。精神はそのままで、身体がこうやって人を殺める」
(違うんだ、君は悪魔を倒した。人を殺めたわけじゃない!)
「私から殺した存在を奪わないで」
 切ない声、多分親を殺した事を噛み締めている。味はどんなのだろう、身体が一緒でも何もかもが分からない。
「いつか捨てる時が来るなら、それはきっとああなってるから。その時は躊躇なく殺して、そして忘れて。
 貴女は贖う罪は無いと言ったけど、他人のやらかしたことは誰かが背負うなんて出来ないから。
 お母さんとお父さんはきっと忘れ去られる、そして私は不知火さんや貴女やニーベルンゲンに忘れ去られてやっと終わる」
 彼女は溢れない涙を溢しながら、雪を身体に積らせる。
「独りで地獄に歩いていくよ、それがきっと正しい事。
 私が何かを考えて、殺した。その事は覆せない事実で、それがとっても嬉しいから。だから」
(____その時は私が君を殺す。君を殺した罪を背負って生きる)
「……全く、背負いすぎだよ」
 後ろから、重い足音がする。
 大切な家族が、傘を持って上にいる。
「____お嬢様、帰りましょう。報告は情報として送信しました。あとはこのニーベルンゲンにお任せください」
「ありがとう」
 踵を返して歩き出す。
 日はもうすぐ沈みきる。雪は、橙色の光を反射しながらコンクリートを照らす。道は濡れ、私と彼を影を映しながら付いてくる。

 いつか、今道に映る彼女の笑顔が。
 私の手によって壊れる時が来るのなら____
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もの/主さん (88il5itf)2022/2/21 22:51 (No.90816)削除
思想は違うけどぬいぬいはかなり伊藤くんのこと好きでしたね



目の前に白い月が浮かんでいる。
彼は眼下に広がる街の夜景を見下ろしていた。右手には住宅街があり、左手には遠くに繁華街が広がっている。日が落ちた東京は煌びやかというよりもどろどろした黒いものに光が散らされた巨大な伏魔殿のようだと彼は思った。
彼はこうして夜の街を見下ろしに時折ここを訪れる。柵もない屋上の縁に腰掛けて、足をぶらぶらと闇に揺らしながら、ねっとりとした暗闇のなかで蠢く人間とそれを照らす光の流れを眺めているのだ。

彼の梳き流した鏡のように輝く黒髪は風が吹くたびに耳元でさやさやと揺れていた。
彼はいきものの耳を通して、同じ特級で後輩の伊藤剛一が亡くなったことを知った。驚きはしなかった。人間でいる限り、必ずいつか死は訪れるから。その時期が早いか遅いか、ただそれだけ。
暫くすると深川にも連絡が来て、彼の周りの退魔師たちは慕っている特級の突然の訃報を聞いて泣き崩れた。悲しさでひたすら涙を流す者、悔しさを堪えきれない者、ただ静かにその事実を受け入れようとする者。深川では仲間の訃報は日常の一部だが、特級の死は多くの退魔師に深い傷を与えた。そんな後輩たちを、彼は椅子に座ってただ眺めていた。何も言うことなく、笑うことも泣くこともなかった。

彼は深川を出て、この場所へ向かった。何故かは分からない。ただぼんやり夜景を眺めて、それから帰ろうと思った。

冬の夜の風が吹き込み、彼はさえざえした気分のせいか余計に肌寒さを感じた。座っている場所が沈んでいくように思った。
目にかかった髪の束の隙間から、黒と深い赤の瞳が覗いていた。
彼はコートのポケットから煙草を取り出して一本咥えると、それを口の端にぶら下げて暫くぼんやり空を仰いだ。幾ら静かな場所にいるとはいえあくまで都市部、星は大して綺麗には見えない。彼はまた俯いてライターを灯した。カチ、カチ、と何回か乾いた音がしたあと、ぼんやりと彼の顔が照らされて煙草に火が点いた。
一度煙を吐いて、指の間に煙草を挟んで口元から離す。吐いた灰色の煙は風に流されて消えていった。指に挟んだ煙草から細い煙が絶え間なく流れていく。


「……若いなあ」


彼はそれだけを溢れ落とすように呟いた。彼の声は誰にも届くことはなく、夜の冷たい空気の中に溶けていった。




俺は柄にもなく、どうか君には、最期くらいは、苦しまずに穏やかに死んでほしいと思ったのだ。
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名無さん (7gfrhh99)2022/2/20 23:28 (No.90792)削除
力強く、真っ直ぐだった、鮮やかな燈籠。













「____そうですか。」


某年 某月 某日。
特級退魔師が1人。
鮮やかで力強い橙籠の火が、消えた。

彼を慕っていた者は泣き崩れ、親しかった人は絶望する。
特級が消えたことは、退魔師にとって大打撃となり、彼の死を慈しむ間もなく、バタバタと忙しなく彼方此方へと動き回っている。
非常に不味い事であることは、誰もが直ぐに分かるだろう。
特級は過去よりも減り、今ではたったの6名しかいなかった。
それが1人、空席になってしまった。


彼は非常に強い退魔師だったと思う。
それは贔屓目無しで思うこと。実力を見れば分かること。

だから、彼を推薦したんだもの。


風も吹かない。音も聞こえない。人もいない。
目の前にあるのは荒魂の死体だけ。
彼の死んだという連絡を受けてからか、一層この沈黙が重々しく感じられる。
けれど心に波は立たない。青年は何を思考するのか。
これからの仕事をどうするべきか、はたまた彼の死に向き合っているのか………否。
そうではない。

彼が考えていたのは……____■■■■■■■■■。


「 ………これは少し、不謹慎ですね…。いけないいけない。 」

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「 …今頃もう、あの世でしょうか。 」

「 あの子には会えましたかね。きっと逢えたでしょうね。 」

「 笑顔で逢えていたら、俺も本望です。 」

「 色んな話をして、ゆっくり休んでくださいね。 」

「 燈籠さん。今まで、本当にお疲れ様でした。 」

「 共に戦えたこと、誇りに思います。 」

「 _____ どうかお元気で。 」














「 伊藤くん 、またね。 」
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